青藍メモ

青藍メモ

令和元年司法試験予備試験論文式試験の答案を晒すブログです。

行政法 令和元年司法試験予備試験論文式試験

はじめに

青藍です。

予備試験の短答式試験・論文模試の結果と論文本試験の結果との相関関係について探るべく、私の再現答案を晒します。

短答・論文模試の結果等

総合

短答 191点(法律158、教養33、340番台)

塾 260番台/602人

辰巳 90番台/311人

行政法

短答 20点

塾 540番台/602人

辰巳 80番台/311人

 

再現答案(2枚程度)

第1 設問1

1 本件許可処分は、行政事件訴訟法(以下、法名略)2条の「処分」にあたる。そのため、Cに本件取消訴訟(3条2項)の原告適格が認めれれるためには、「法律上の利益を有する者」に該当する必要がある(9条1項)。

2 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、法律上の利益の有無を判断するにあたっては、行政法規が当該利益を一般公益の中に吸収解消させるにとどまらず、個々人の個別具体的利益として保護する趣旨かを、9条2項により判断する。

3 本件について見るに、本件許可処分は条例6条1項に基づく申請に対するものであり、具体的な許可基準は規則に定めがある。

 条例の目的は、広告物に対し「必要な規制を行い、もって良好な景観を形成し、及び風致を維持し、並びに公衆に対する危険を防止すること」である(条例1条)。そして、条例6条1項に基づく申請に対する許可の基準は、規則10条1項及び2項により、規則別表第4及び規則別表第5に定めがある。

 ここで、県としては、別表第4各号においては、広告物等の色や塗料等に対する規制が定められており、これは良好な景観という一般公益を保護する趣旨であり、Cの個別具体的権利を保護する趣旨ではないと反論する。

 しかし、Cとしては、本件広告物が、自己の生活の平穏及び安全を害するものであり、条例及び規則が保護するCの個別具体的権利を侵害するおそれがあると主張する。即ち、Cは本件申請地点の隣地に居住する者であり、広告物の発する映像の影響を直接的に被る者であり、これは別表第4が保護しようとしている広告物周辺の景観の利益である。そして、別表第5(イ)及び(ロ)は、建築物等から独立した広告物等の面積や高さの限度を規制するものであり、広告物等の倒壊により周囲の人間が被る生命・身体・財産への危険を軽減するための規制と解される。そのため、本件申請地点の隣地に居住するCは、本件広告物の倒壊により自己の生命・身体・財産に直接的な危険が及ぶ地位にあり、これは条例及び規制がCの個別具体的権利として保護しようとした「公衆に対する危害の防止」という利益である。

 したがって、Cは、本件許可処分により、条例及び規則がCの個別具体的利益として保護しようとしたCの生活の平穏及び生命・身体・財産への安全を必然的に侵害されるおそれのある者といえるから、「法律上の利益を有する者」にあたる。

4 よって、Cに原告適格が認められる。

第2 設問2

 Bとしては、基準1における「鉄道等」から地下区間を除外していない点において、基準1は条例の委任の趣旨を逸脱しており、無効であると主張する。

 即ち、条例の目的は景観の維持等であるところ(条例1条)、線路の地下区間においては広告物が見えないため、この区間と広告物等との間に距離制限を定める必要がなく、かかる区間を除外していない基準1は、条例の委任の趣旨を逸脱したものであり、無効である。

                                   以上

現場での思考

設問1

Cに原告適格を認めてよいものか悩みました(個別具体的利益無くね…?)。

さりとてこれを認めないわけにもいかず、家の隣に派手な広告物があったら生活の平穏が害される、広告物が倒壊したら生命身体財産に危険が及び、これは条例及び規則が保護する趣旨であるなど、苦し紛れの言い訳をしつつ論述しました。

再現答案書いてて気づいたのですが、別表第5の二は、建築物等から「独立した」広告物についてのみ、面積や高さ制限がかかっています。

これはもしかしたら、建築物等から「独立した」広告物については、支柱がボキッと折れて隣家に損害を与える可能性があるから、その被害を軽減するため大きさの制限がかかっている、とも考えられないでしょうか。仮にそうであるなら、答案に示せればよかったなと思います。

設問2

時間がなかったのでこの程度の分量しか書けませんでした。地下に存在する線路については、どうせ広告物が見えないんだから距離制限を掛ける必要はないだろうということを述べました。