青藍メモ

青藍メモ

令和元年司法試験予備試験論文式試験の答案を晒すブログです。

民事訴訟法 令和元年司法試験予備試験論文式試験

はじめに

青藍です。

予備試験の短答式試験・論文模試の結果と論文本試験の結果との相関関係について探るべく、私の再現答案を晒します。

短答・論文模試の結果等

総合

短答 191点(法律158、教養33、340番台)

塾 260番台/602人

辰巳 90番台/311人 

民訴法

短答 24点

塾 430番台/602人

辰巳 200番台/311人

再現答案(2.0枚)

第1 設問1

 本問において、X1はYに訴状が送達される前、即ち訴訟係属前に死亡していることから、本件訴訟は訴訟要件を欠き、Yは「本件訴えは却下されるべきである。」と主張していると解される。

 そこで、X2としては、自己がX1の選定当事者(民事訴訟法(以下、法名略)30条1項)にあたり、訴訟は有効に係属していると主張する。

1 「共同の利益を有する多数の者」の意義が問題となるも、訴訟信託が禁止され、弁護士代理の原則(54条1項)がとられていることを考えると、「共同の利益を有する多数の者」とは、同一の事実関係及び法律関係に基づく利益を有するものであって、訴訟信託の禁止及び弁護士代理の原則の趣旨に反するおそれのない者をいうと解される。

2 本件について見るに、X1らは、Yとの間で甲土地の売買契約を締結しており、同一の相手方かつ同一の目的物を対象とした、同一の事実関係及び法律関係に基づく利益を有する者同士といえる。そして、X1は、自宅兼店舗を建築する予定で甲土地を購入しており、X1は、X2に事業を引き継がせようと考えていた。そのため、X1とX2との間では利益が相反する関係になく、共通の利益を有する者同士であるといえる。

 そして、X2は本件訴えの提起前から弁護士との打合せを行っており、弁護士代理の原則や訴訟信託の禁止の趣旨にも反しない。

 更に、X1は体調が優れなかったため訴訟対応をX2に任せたのであり、X2による訴訟追行を認める必要性および許容性もある。

 したがって、X1とX2は「共同の利益を有する多数の者」にあたる。

3 「選定」があったか問題となるも、X1はX2に訴訟への対応を任せてあり、X2も「X1から自分に訴訟対応を任された」との認識があったため、黙示の「選定」があったといえる。

4 以上より、X2はX1の選定当事者であるため、Y1に訴状が送達される前にX1が死亡していたとしても、X2は単独で訴訟追行することができ、訴訟要件に欠けるところはないから、本件訴えは却下されるべきではない。

第2 設問2

1 確定判決は、主文に包含されるものに限り、規範力を有する(114条1項)。既判力とは、前訴確定判決後の後訴における通用力であり、その客観的範囲は、訴訟物たる権利義務関係の存否に限られる。

2 そして、確定判決は、「前2号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人」にも及ぶ(115条1項3号)。「承継人」とは当事者から紛争の主体たる地位を承継した者をいう。

 Zは、Yから甲土地の贈与を受けたものであり、甲土地に関する紛争の主体たる地位をYから承継した者といえ、「承継人」にあたり、かつ、口頭弁論集結「前」に贈与を受けているから、Zには前訴判決の効力が及ばないようにも思える。

 しかし、Bは強制執行を免れる目的で、Zと通謀の上、甲土地をYからZに贈与させている。そして、BはYの代表取締役であり、ZはBの息子であるから、ZはYと同視でき、115条1項1号の「当事者」として前訴判決の既判力が及ぶ。 以上

 

現場での思考

設問1

訴訟係属は、被告への訴状送達時に生じます。

本問ではYへの訴状送達前にX1が死亡しており、そもそもX1との関係では訴訟は係属いないとも考えられるため、これを克服する理論構成が必要であると考えました。

そこで、X1が死亡しても訴訟が係属しているといえるためには、X2がX1を訴訟担当していることが必要ではないかと考えました。

法定訴訟担当か任意的訴訟担当かについては、本問では選定当事者の制度が使えそうであり、明文の規定が使える場合にはそれによる方がいいのではないかという考えのもと、選定当事者について論述しました。

しかし、選定当事者については知識が不十分であったため、論証がいかにもその場ででっち上げましたというようなお粗末なものになってしまい、良い評価を得ることは難しいだろうなと思いました。

原告複数の場合なので、固有必要的共同訴訟や通常共同訴訟の話なのかなとも迷いました。

しかし、本件訴えの訴訟物は売買契約に基づく所有権移転登記手続請求であり、共有権の確認の訴えなどではないので、固有の話には立ち入りませんでした。

また、本件訴えが通常共同訴訟であるにせよ、そもそも訴訟係属が生じているかが問題となっているのではないかと考えたので、通常共同訴訟の要件具備については立ち入りませんでした。

本当はもっと色々と論ずるべきなのでしょうが、私の知識ではこの答案が精一杯でした。

設問2

問題文を見た瞬間、これは他の受験生も悩むだろうなと思いました。

最も試験時間が長い民事系科目の最後の最後の問題で「信義則も争点効も使うな、それを前提に考えろ」というのは、あまりにも厳しすぎます。

本問を上手に論述できる受験生の方々を尊敬します。普段どのように勉強しているのか知りたいです。